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海上貯水槽と淡水化装置とのドッキングメカニズムは、
(1)海面上を屈折自在にした揺動する多数のフロートを細めてフロート群とする。
(2)二つのフロートを連結するときにフロート相互の相対変位による屈折によって駆動させる往復動ポンプを設ける。
(3)このポンプにより吸引圧送される海水を貯蔵する蓄圧槽を設ける。
(4)分離された淡水を貯蔵する海上貯水槽を持つ。またすでに知られている波力発電[7]の導入も可能であろう。
5. 流体抵抗を少なくするための形状制御
海中或いは海上に設置されたフレキシブルタンクが潮流により流される場合の流体抵抗を少なくする為、またそれによる係留負荷を出来るだけ少なくするに、フレキシブルな特徴を活かして潮流とその方向のデータより抵抗を極めて少なくするための袋の形状を自動制御する方法を提案する。Fig.5は水袋が潮流の影響で変形したところを示す(水槽実験による[8])。

321-1.gif

Fig.5 Formation of tank with full of liquid is easily changed by water flo'w.

従って、タンクが容易に変形する事を利用して、積極的にフレキシブルタンクの形状を自動静脚させることをここでは提案する。その方法としては、
(1)潮流計測、また係留ケーブルの張力計測を行い、張力負荷が最小になるようにタンクの形状を制御する自動静脚方式
(2)潮流計測は実施するが、あらかじめ潮流データに基ずいてどのケーブルを制御してタンクの形状を制御すればよいかのデータを求めておき、これによるプログラム制御方式を示す。
(1)の自動制御方式では、一本のケーブルのみの伸縮制御では滑らかなフレキシブル形状は得られないので、多くのケーブルを制御することになる、したがってあらかじめ複数ケーブルの制御戦略は決めておくのがよい。
(2)のプログラム制御方式では、多くの実験・経験データをもとに、ケーブルの巻き上げ制御をおこなう。Fig.6は形状制御をケーブルの巻き上げ制御で行う原理を示したもので、Fig.7は制御の簡単なブロック図である。
6. 結び
ここでは海中に真水をフレキシブルなタンクにて貯蔵する方法とその展開について検討した。コスト、フレキシブル性、を活かした幾つかの提案をおこなったが、今後、さらに興味のある提案を行いたい。フレキシブルタンクの試作をして頂いたに栗本鐵工所、技術的展開について多くの示唆を頂いた川崎重工・フジキンおよびグローブテック研究会の各位に感謝する。
参考文献
[1]津村:海中貯水槽とその応用、エネルギー資源研究会第4回研究発表会、pp.65-68(1985.4.24)
[2]海水での淡水貯蔵技術、TRIGGER別冊p.143、(September,1987)
[3]鈴木、新城:水不足解消をめざして「まんぼう計画一海中貯水システム構想」土木学会誌、vol.78, pp.16-20,(1993-3)
[4]楠本:アコーデオン式海底貯水槽、朝日新聞、1985.2.23.香川版
[5]Dubai's unique storage tank is installed, 0IL。?ASJOURNAL August.25.1969 pp.42-43
[6]電源開発のプロジェクト:注目を集める揚水発電システム、日本工業新聞、1995.10.6.
[7]渡部:波力発電の現状と将来、油圧と空気圧、vo1.17, No.7, pp.1-9(1986)
[8]奥野・森川・津村:海中貯水槽に関する実験、第92回 回流水槽懇談会資料、pp.1-6,1989.11.24.

 

 

 

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